この本は、わたしが今まで読んだ庭づくりの本の中でもっとも感動して心に響いた一冊です。
著者の太田氏は、植物だけにとどまらず、建築、インテリア、音楽や芸術にも深い造詣をお持ちでさらにお料理まで上手という多才な人物です。
この書籍も氏が植物と向き合いながら重ねていった考えが、奥行きの深いそして分かりやすい文章で綴られています。
なんども繰り返して読みたくなる、まさに植栽、庭づくりのバイブル。
植栽は絵ではなく劇や物語のようなもの
ガーデニングの本に載せられている写真を見たりすると、いっぷくの絵のような美しさにうっとりするけれど。
庭は絵ではないので。
植栽は時間とともに表情を変えていってしまいます。
予想通りにいかないこともあるのがしばしば。
それが時にわたしをヤキモキさせたりするのですが。
彼は、植栽は植物たちが時間の中で描き出していく劇や物語のようなものだといっているのです。
植物は、その登場人物なのだと。
自分の言葉で物語を綴るように丁寧に植え込んでいくと、見る人の心に語りかけてくれる個性的なストーリーのある植栽になると語っています。
17ページから引用。
わたしは自分の庭の役者(植物)のパフォーマンスを充分に引き出しているだろうかと考えてしまいました〜。
写真もさることながら、文章に引き込まれます。
庭作りをしない人も読み応えのある一冊
宿根草、球根、樹木と氏のセレクトした植栽が紹介されていて、その合い間に書かれているコラムにはオスカー・ワイルドの言葉が添えられていて刺激的。
思いっきりインスパイアされます。
このところ、幾分マンネリ気味だったわたしの園芸ライフでしたが一気にモチベーションが上がって、新しい境地がひらけた気分。
太田氏の人を惹きつけずにはおかない独創的な美しさの植栽の写真の数々は、園芸をなさらない方でも楽しめることうけあいです。
英訳版が出ないかな。
海外の友人にも紹介したいです。
おすすめの一冊!
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