わたしは、2019年で、還暦を目前に控えて、ふと後悔することがあります。
それは、親がやりくりして小学校から高校まで習わせてくれたピアノを止めてしまったことでした。
実に40年近くが経っているいま、まともに弾けるのは多分バイエル程度ではないかなと思います。
今の趣味はクラシックバレエで、これは細く長く、もう25年以上続いています。
わたしの母は、最初の子供だったわたしに、壮大な?計画があったようで、まずは物心ついた時に習わされたのはバレエでした。
昭和30年代の後半、東北の地方都市ではバレエは一般的ではなく、東京から先生を毎週、お招きしていたと後から聞きました。
なので、そのスタジオは月謝も安くはなかったと思いますが。
子供にしてみれば、ある日突然、なんだか知らないところに連れて行かれて、わたしの平和な日々が?終わりました。
そして、訳わからないもの(レオタード)を着せられて、初の習い事はスタートしたのでした。
気合い満々の親と、やる気のない子供
フィギャアスケートを学校で習っていた母は、習い事は洋物好み。
どこで知ったのか、自宅のそばにバレエスタジオがあることを知るや、さっそくわたしを連れて行ったのでした。
当時、4才だったです。
(そのころの家は、百貨店まで歩いて5分という、思い切り街中だったので、なんでも徒歩圏内でした。)
なんだか少し歩いて、気がついら鏡のたくさんある場所に着ていました。
親は、肌色のタイツを履かせるや、急いで黒いタイツみたいな生地でできた服(レオタード)を、わたしに着せるのでした。
そしてバレエシューズ。
(白だったと思います。)
季節は覚えていないのですが、東北で、床暖房もないスタジオは、ちょっと寒くて。
なんでこんな格好をさせられるのだと、いぶかっていました。
前のクラスがまだ終わっていなくて、先生は、お姉さんのような大人(に見えた)に、
「はい、トゥシューズに履き替えて」
とおっしゃってました。
みんな黒いレオタード、黒ずくしのモノトーンの世界で、ポワント、トゥシューズのピンク、サテンの輝きは、子供心に、わぁ、素敵と。
のんきな時間はここまででして…。
クラスが始まると、音楽が流れて、確かスキップをして、4拍目で手をあげて叩くのだったと思います。
人生で初めてのスキップ、なんか分からないけれど適当にやってみました。
見ると、母がガラスの仕切りの向こうで、鬼のような顔をして自分を見ています、なんで?
帰宅後に、
「あなたはスキップができないのね」
スポーツ万能な母はショックだったようで、六畳の部屋でスキップの練習をさせられるのでした…。
これがトラウマとなって、その後、レッスンに行くたびに、電信柱にしがみついて(母談)、嫌がったと聞いています
子供の習い事をさせるなら、素敵な場面を見せておくことのススメ
ほどなくして、父の転勤が決まりました。
母は、辞める前に、そのスタジオの発表会に行きましょうねと、わたしを県民会館に連れていってくれました。
そこで大ショック!
「え、バレエって、こんなに素敵なお洋服をきて、キラキラした中で踊るものだったの?」
「あの、黒い服着て、スキップやストレッチ(この言葉は後づけ)、だけではないんだ〜。」
この曲はなんていうの?、と母に聞いたら、くるみ割り人形よと言われました。
その時のショックが大きかったのか、この曲のメロディはそらんじられるほど、一瞬で覚えてしまいます。
子供はすごい。
前言撤回して転勤先で、バレエを習いたいと、今度はやる気満々で言ったら、
「ここは、良い先生がいないからダメ、ピアノにしましょう。」
(転勤したばかりなのに、いつ調べたのだか…、今、思っても母の気合は、すごかった。)
という御宣託がくだったのでした。
えっ…!
小学生になっていたわたしは、バレエが習いたかったので、ピアノは気が進まず、嫌がるのですが、これも親の巧みな誘導で、習うはめになってしまいます。
それに関しては、またあとで。
今は、バレエの子供用のレオタードは、夢を誘うような可愛い色とデザインのレオタードがたくさんあるので、入る時のイメージも、悪くないと思いますが。
できるなら、バレエに限らず、習いごとは、習わせる前に、プロの素敵な舞台を見せるのがいいなと思っていました。
が…。
結婚して、女の子が生まれて、彼女は小学校に入るやいなや、
「お母さん、バレエを習うことに決めたの。もう、お教室で申し込んできたから。」
えっ!
実は、娘は私立の小学校に入れたので、サラリーマン家庭の拙宅は、入学金や学債、制服代など、その他諸々の出費で、すっからかんになっていました。
だから、しばらく習いことをさせるつもりは、なかったのでした
特に、バレエはお金がかかると聞いていたので…(汗)
ままならないのは、母親になっても同じでしたが。
これをきっかけに、わたしは、大人になってからですが、バレエを習い始めて今に至るのです。
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