若いころ、特に子供のころは、悲しみにあっても、もっと感情のコントロール、心のコントロールが上手にできた気がします。
以下は、私ごとですが。
先日(2018年10月現在)、遠隔地にいる親と電話で昔話しをした時、懐かしさと帰らぬ日々を思って胸が苦しくなって、しばらくほとんどのことに対して、やる気が出なくなるほど、気分がふさいでしまいました。
親にとっては、子供はいつまでも子供であることに切なくなって
ひさしぶりに父親から電話がかかってきました。
どうも父方の家系は、声が年をとらないらしく、若いころとほとんど変わらないよく響く父の声を聞いていると、93歳という年齢を忘れてしまいそうになります。
長女で、初めての子供である私は、父に溺愛されました。
(今になって振り返ってわかる親不孝者ですが…。)
ひとしきり、父と私だけの思い出話に花が咲いたあと、父の登山の趣味に話題を移して言いました。
「私も最近、山登りっていいなぁと思っているの。来年あたり、お父様の登った山に、私も登ろうかな。」
と軽い気持ちで言ったら、父は大喜びで、
「パパはね、もう足が悪いから、もうマリコといっしょに登ってやることはできない。だからマリコちゃんが登る時は、ガイドを手配するから、連絡をよこすのだよ、いいね。」
「ガイドって…」
幼い頃のむかし話をしていたことと、そして父のこの言葉が決定打となって、どっと涙が出てきてました。
切なくて、胸が締めつけられるように苦しくなりました。
こんな年齢になって、私も58才になろうというのに、父にとっては、私は相変わらず守ってやらななければいけない子供のままなのだと。
自分も人生の終わりが見えているので、いっそう切なく、感情をコントロールできなくなりました
「あの時、二人で楽しかったね」
「お父様のバイクの後ろに乗って、二人でどこまでも海沿いを走ったね」
子供のころは、若いころは、これからもどんどん思い出を増やしていくことだできるせいか、昔を懐かしむことも、短い時間で心に区切りをつけることができますが。
もう、帰らない昔を振り返るだけというのは、切なすぎて、今の年齢の私の心には堪えました。
愛し、愛された思い出は素晴らしいけれど、自分を愛してくれた人を失ってしまった時、自分は雄々しく立ち直ることができるだろうかと、正直にいうと恐怖にも似た感情が襲ってきました。
年を重ねることは、予想もしなかった自分の変化にとまどうことの連続です。
とにかく先にワクワクすることを、自分で作り出さなければいけないのだなと、改めて思うのでしたが、ちょっと力が出なくなったのでした。
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